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(101)“墓から現在アートにまで使われている花崗岩のダイヤモンド”

 源平合戦で知られる屋島の東側対岸には、峰が剣の尖のようにそびえ立つ五剣山という山があります。この山から西方向に延びる高松市の牟礼と庵治の境の尾根には大規模な採石場を見ることできます。ここで採掘される石は「庵治石」と呼ばれ、牟礼と庵治は、愛知県の岡崎市、茨城県の真壁町と並ぶ日本における三大石材産地の一つといわれています。ちなみに庵治石という名前の由来は、石の積出港が庵治にあったことよるといいま
す。

 今から6500万年前から1億年前の白亜紀後期、ユーラシア大陸の東の端で火山活動を中心とした激しい地殻変動が起きました。そのときマグマが地下の深いところで冷え固まってできた石が花崗岩です。中でも特にきめ細かい石が庵治石で、2000万年ほど前の地殻変動による隆起により地表に現れました。
 庵治石は、学問的には「細粒黒雲母花崗岩」といい、石英・長石を主成分とし、少量の黒雲母と角閃石を含んでいます。この構成鉱物の結晶が極めて小さく結合が緻密なため、他の地域の花崗岩と比べてより硬いのが特徴で、その硬度は水晶と同じ程度です。このため細かい細工が可能である一方、水を吸い込みにくくて風化や変質に強く、200年は彫られた字が崩れたり、変色したりしないといわれています。
 花崗岩は、石材という観点からみると、荒目(あらめ)、中目(ちゅうめ)、細目(こまめ)と分類されますが、庵治石は細目と中目に分類されます。さらにその中間として中細目(ちゅうこまめ)が設けられることもあります。細目は小さな黒雲母の数が多く、磨くほどに濃淡が浮き出て、石の表面が奥行きを感じさせる二重のかすり模様が表れます。これを「斑(ふ)が浮く」といいます。その模様は、高い山々にかすみたなびく雲、また屋島から舞い落ちる桜の花びらにもたとえられ、縁起物としても珍重されてきました。中目は黒雲母の数が少ないので、細目に比較して白く見えます。
 このように、庵治石は、キメの細かさ、優美な光沢、独特の色合い、重量感を有するとともに、頑丈で強くいつまでも美しいという特徴から、墓石や、石灯籠、庭石、建築用材などのほか、現代アートの素材としても利用されています。そして、その質の良さと希少価値から石材の単価としては世界一とされ、「銀座虎屋の羊羹(ようかん)より高い石」とか「花崗岩のダイヤモンド」といわれてきました。

 庵治石の歴史は古く、平安時代後期から石材として使われ始め、およそ千年の歴史を持っているといわれています。暦応2年(1339)、京都男山の石清水八幡宮の再建に讃岐の石が使われたという記録があり、その石は庵治石だと考えられています。
 本格的に採石され始めたのは、16世紀末の天正時代(1573年~)に入ってからだといわれており、江戸時代初期には高松城築城や大阪城大改築にも庵治石が使われていま
す。
 その真価が全国的にも認められるようになったのは、明治時代以降で、皇居、武庫離宮(現在の須磨離宮公園)の造営や、大正2年から3年にかけて造営された明治天皇の墓所である伏見桃山陵(ふしみももやまのみさざき)にも多量の庵治石が使われました。さらに、大正以降は、牟礼や庵治で住む石匠の優れた石材加工技術も全国に知られるようになっていきました。

 このような中で、庵治石と石匠の技術に新しい風が吹いてきます。昭和30年頃、彫刻家の流政之が石材工場内においてアトリエを構え、また、イサム・ノグチが牟礼・庵治を訪れてきたのです。流氏は昭和40年頃より、庵治半島東海岸に面した小高い山中に「石と煉瓦の砦」ともいわれる建物を造り、また、ノグチ氏は昭和44年から牟礼でアトリエを構え、これらを拠点に制作活動をします。ノグチ氏は、平成10年に亡くなるまで、20年余りこの地を拠点として活動しました。このような活動は牟礼・庵治の石匠達にも大きな影響を与え、墓石だけでなく、現代アート風の彫り物や置物などの作品が彼らの手で生み出されてきています。

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●訪れてみたいところ

○牟礼、庵治の丁場・石材加工場
 この地域は採石から最終製品化までの全工程が集積する全国唯一の石材産地といわれています。
 戦前は注文を受けた石工が自ら山へ足を運び、原石を採堀し加工をしていました。昭和35年頃になると、採石や加工の方法も機械化され、火薬やノミを使っていた時代から大きく変化して、採石と加工が次第に分業化され、丁場師と呼ばれる山石屋と、仕立師と称される加工石屋とに分かれていきます。
 丁場での採石は岩盤の割目、岩の傷を見定めることから始まります。丁場には石の層が東西南北に2本走っており、この層にそって圧縮空気を使った削岩機で必要に応じた間隔と深さに穴を堀り火薬を詰め発破をかけて採掘します。穴の間隔や火薬の量は今も石工の豊かな経験に頼っています。
 丁場で採掘した石は作業場へ運ばれ、「小割り」されます。注文に応じた形を取るために丹念に傷を調べ石を割る方向を決める必要があります。ある程度の大きさにまで割られた石は、設計図に従ってノコで裁断され、石工がノミを使い細かい石彫細工をしていきます。そして、手動・自動研磨機で表面を研磨し、さらに細かい部分や曲面を手磨きします。
 墓石、灯篭、彫刻材等として製品化される量は、最初に採石された量の3~5%といわれており、残りの石は、建築用の土台となる栗石、庭石、築石、埋め立て用の捨石などに使われます。

○むれ源平石あかりロード
 平成17年から、牟礼では、観光と地場産業の融合を図るイベントとして、夏場の夜間、「むれ源平石あかりロード」(平成19年は7月29日~9月22日)が開催されています。場所は牟礼の「ことでん八栗駅」から那須与一が扇の的を射るときに使った岩「駒立岩」までの約1Kmの旧庵治街道です。庵治石とあかりを組み合わせた約200 個もの「石あかり」が設置され、暗闇の中に幻想的な光が浮かび上がります。

イサム・ノグチ庭園美術館
 昭和31年、初めて庵治石の産地である香川県の牟礼町を訪れたイサムノグチは、昭和44年からは五剣山屋島の間にあるこの地にアトリエと住居を構え、以降20年余りの間、ここを拠点としました。アトリエはサークルと呼ばれている石壁で円状に囲まれており、住居は丸亀市塩飽町で丸亀藩御用金融業をしていた竹島屋の入江家の居宅を移築したものです。
 平成11年、このアトリエと150点の石彫彫刻作品を公開するイサム・ノグチ庭園美術館が開館しました。香川県内における主な作品としては、高松空港に「TIME&SPACE」、五色台少年自然の家に「オクテトラ」などがあります。

○石の民族資料館
 石工達の機械化以前の人力による採石方法、石割り方法、運搬方法、加工方法などが実物大ジオラマで再現されています。収蔵されている石工用具791点が平成8年に国の重要有形民俗文化財に指定されています。
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kyouiku/bunkabu/rekisi/ishi_mure/index.htm

○映画セカチュウーのロケ地
 平成16年5月8日に、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」が公開されました。映画は大ヒットし、略して「セカチュウー」と呼ばれました。この映画のロケが庵治の港や町で行われました。
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テーマ : 香川
ジャンル : 地域情報

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